皆さん「筋ジストロフィー」という難病をご存知でしょうか?
簡単に言えば全身の筋肉が次第に衰えていくという病気。
国内の患者数は、推計約2万5千人ともいわれています。
症例が少なく、また根本治療薬もない難病ですが
この難病に立ち向かいながら
独創的な「棒人間アート」を確立させて
個展を開いた高校生が三国に住んでいます。

彼の名前は、山崎海斗君。
まだ17歳。高校3年生です。
優しく丁寧に受け答えする姿が印象的な男の子です。
電動車いすで生活する山崎君が
昨年、入院生活中に本格的に取り組み始めたのが
「棒人間アート」です。
棒人間とは、円と棒線とで表現する、
とてもシンプルな人間のイラスト。
誰でも1回は描いたことがあるかなと思います。
(これは私が描いたものです。汗)

これを1ミリ以下という、ほとんど点のような大きさで描き、
その集合体で絵や文字を表現するのが
彼の編み出した「棒人間アート」。
まるで点描画のようです。



もともと山崎君は
小学校のころこの棒人間でハチなどを描いていました。
入院中、おばあさまが
「またあの絵が見てみたい」とおっしゃったことに背中を押され
ベッドに寝ながら、距離感に苦心しながらも
彼は黒ボールペンでアートを描き続けました。
時には看護師さんに絵をプレゼントしたり、
SNSに投稿したり。
すると、その投稿作品が
鯖江市のチョークアート作家さんの目に留まりました。
彼女も、娘さんがハンディを抱えながらも
絵画に才能を持っているという方です。
このチョークアート作家さんが山崎君に声を掛けたのがきっかけで
昨年10月、彼女の企画したアート展で
山崎君の作品が初めて展示されました。
(ちなみに、この展示会が鯖江で行われた関係で
このとき取材した私が初めて彼の存在を知りました)
初の作品展で(私もですが)彼のアートに感銘を受けた方は大勢いました。
感想には「カラー作品が見たい」という声が寄せられました。
そこで、彼はたくさんカラーボールペンを購入し、
新たな挑戦を始めました。
彼の作品に心を打たれたという鯖江市役所の女性職員さんの働きかけで
今月から、鯖江市嚮陽会館内の「cafe&lunchここる」さんで
初めての個展を開いています。
お母様が三国と鯖江とを往復して作品搬入や展示をし
看板も作りました。
山崎君も、パソコンでチラシを作ってPRしました。



↑この額縁の作品が
生まれて初めて描いた蜂や
看護師さんにプレゼントした絵だそうです。
私が取材したのは、山崎君が会場に来ることができた日。
三国から鯖江までの距離を思うと、
移動するだけでも疲弊したことと思います。
(私だって毎日丸岡から鯖江に通勤するのは大変ですし!)
まして、私含め、多数の記者達に囲まれ慣れない取材。
取材後、横たわった山崎君を見て
申し訳ない気持ちになりました。
この作品を見た娘が
「すごい」と短い言葉で感動していました。
この棒人間アート、下書きなしで描くのだそうです。
その細やかさと迫力にただただ感動します。
この取材は
先ほどご紹介したチョークアート作家さんからのご紹介で
取材に当たったのですが、
当日までに
市役所職員さんや市会議長さんなど
たくさんの方から「ぜひ取材して」と言われました。
こんなこと、なかなかないです。
みんなが彼のことを自分のことのように応援している。
そのことに純粋に心を打たれました。
取材記事がこちら。
本日11月26日付の福井新聞です。
(ちょうど春江工高出身の栗原君が日本シリーズMVPになった記事掲載と重なりました!)

12月中旬まで展示されています(火曜定休)。
私達の地元福井県にこんな素晴らしい高校生がいるということを
ぜひ知っていただきたいなと思ってます。
(このブログは、山崎君ご本人さんはじめ
広く皆さんに見てほしいなとの思いで外部公開にしています)